極寒地域におけるイチゴ栽培の現状

お世話になります、島根県邑南町(おおなんちょう)の寺本果樹園の寺本直人です🧑‍🌾ありがとうございます!

今日で寺本果樹園は(ほぼ)仕事納めとなりました!本当だったら明日の予定だったのですが、思ったより仕事が早く進んだおかげで、姉ちゃんと話した結果「もう今年の仕事は納めでいっか」となりました。あとはぼちぼち気になるところをちょろっとやったり、ブドウの木の枝の和紙試作やってみたりと言った具合です。あんまり年の瀬感ない!

極寒地域におけるイチゴ栽培の現状

さて、今日は「極寒地域におけるイチゴ栽培の現状」についてお話しさせてください。

結構農業の現場寄りのお話になります。なんとか面白い読み物になるよう頑張ります!

まずは、僕の地元邑南町の気候の紹介を。

題名は極寒地域としましたが、たぶん言い過ぎな気がする💦

ざっくりとした紹介ですが、「中山間地域且つ盆地なので、夏は暑く冬は寒く、雪もめっちゃ降る(豪雪地帯、国に指定されためっちゃ雪降る地帯)。あと山陰地方なのであまり晴れない。」といった感じです。

今回大事なのは、『3点』。

①めっちゃ寒い
②めっちゃ雪降る
③あまり晴れない

特に①が超曲者なので、まずは②と③について、軽く説明します。

①めっちゃ雪降る

邑南町はめっちゃ雪が降ります☃️国に指定されてるくらいです!豪雪地帯と言います。

    大体毎年膝上くらいまで降ります☃️30cmくらい☃️

    けど最近は降らない年もあって、よくわからないです…。

    邑南町の農業における雪のメリットデメリットはこんな感じ。

    【メリット】
    ・「雪中野菜」やちょっとした「雪中保存」ができて、野菜がマジで美味い。
    ・特にイチゴは、実がゆっくり熟すから「なにこれ!」と言ってしまうほど美味しい(直人談)。
    ・土の塩基バランスのリセットが図れる
    ↪︎塩基バランスはざっくり「土の栄養状態」。肥料成分が土にかなり溜まってしまう「土のメタボ化現象(直人命名)」をリセットしてくれる!

    【デメリット】
    ・野菜や果物の育ちがかなり悪い。
    ↪︎もはや作らずにバイト行く方が儲かるくらい💦
    ・ハウス倒壊の危険性。父さんは過去に2度壊してます。
    ・畑に行くまでの道のりで、スリップ事故の可能性。僕は対向車線にはみ出るほど滑りました。姉ちゃんは一回転しました。雪道運転マジでヤバい!!

    こんな感じ!

    まとめると、

    『美味しい野菜や果物できるけど、難易度はすごく高い。』

    ③あまり晴れない

    あんまり晴れません。最近は週6曇りか雪で、1日だけ晴れました☀️

    【メリット】
    ・(農業におけるメリットは)おそらくない
    ・肌が綺麗になる
    ↪︎島根県は「美肌ランキング」上位層&連覇のトップランカー

    【デメリット】
    ・光合成が盛んに行われない→作物の育ちが悪い
    ・晴れないので寒い
    ・(ハウス栽培だと)温かくしたいから閉めっぱなしにするが、そのせいで湿気が溜まり病気が出やすい

    こんな感じ!

    マジで農業にとって「晴れない」は致命的。

    ①めっちゃ寒い

    これですね。個人的曲者第1位。

    どれくらい寒いかというと、
    「マイナス気温は当たり前。最高気温がマイナスもザラにある。−15度経験済み。」

    −15度は、寺本家のボイラーがイカれてお風呂に入れなくなってしまうくらいの感じです♨️❄️

    【メリット】
    ・雪のメリットと一緒で、ゆっくり熟すから美味しい野菜や果物ができる

    【デメリット】
    ・野菜や果物の育ちが「とまる」
    ・そもそも植物はこの気温で生育するように設計されてないので、栽培は無茶がある。
    ・花がダメになるので、実にならない
    ・凍害で葉っぱなどの組織が凍る→太陽で溶かされるの繰り返しで植物が弱り、病気になりやすい。またはそのままダメになる。
    ・寒すぎて、栽培システム(機械)が壊れることもある

    こんな感じ!

    大体雪とおんなじ感じですね!

    けど、「花がダメになる」というのが厄介で…。寒さに比較的強いとされてるイチゴですら、被害が出てます💦

    ここまでみていただけたらわかると思います。
    「デメリット多すぎ?もしかして邑南町の冬は農業向いてない…?」

    はっきり言うと、「向いてないです。」
    うちも色々と試行錯誤を繰り返して今はイチゴに辿り着きましたが、本当に「冬の作物」には苦労してます。

    寒すぎるから。雪が降るから。

    そして現在、寺本果樹園のイチゴは冬の試練を迎えています。
    「花がダメになる」問題。「病気が出やすくなる」問題。

    寒すぎて花粉がダメになり、花が黒く変色してしまいます。
    だからと言って温かくするためにハウスを閉め切れば、カビ(病気)が花や実をダメにします。

    極寒地域の農業って難しいでしょ?

    もちろんこれらの試練を乗り越えるために、あれやこれや手を打ってます!

    温めるための布やビニールをイチゴにかけたり、微生物を駆使してカビを抑えたり…。

    夏の猛暑の後は、冬の極寒。一難去ってまた一難。
    寺本果樹園のイチゴ栽培…面白くなってきやがったぜ🔥

    というわけで、「極寒地域におけるイチゴ栽培の現状」というお話しでした!

    与えられた環境でうまいことやる

    ここからは関係のない『僕の雑談・感想』です。

    なんとなく、冬の邑南町(極寒地域)の「農業の現状」がわかっていただけたでしょうか?「難しい!」と言うことだけでもわかっていただけたら嬉しいです。

    正直何度もこの気候を恨んだこともあるし、他の県みたいに「冬が暖かいところはいいなぁ」と羨んだことも何度もあります。
    うまく栽培できなくて、「まぁ邑南町だからね。他の産地はいいなぁ。」と言い訳したことなんて山ほどあります。

    ですが今は、「邑南町の冬は厳しいから、農業できなくても仕方ないよね!」なんて全く思ってません。

    極寒地域で栽培する唯一のメリット、
    「おいしい野菜や果物ができるから。」に気づけたから。

    邑南町で作るイチゴマジで美味いぞ。あとキャベツとブロッコリーとネギと白菜とほうれん草と大根。本当はこの野菜たちも作ってみんなに届けたい!!

    もちろん他の産地でもおいしい野菜や果物は作れるし、作っておられる素敵な農家さんもたくさんいます。

    けど、「−15度を利用してイチゴを栽培する農家」は中々いないんじゃないかなと思います。

    ここまで寒いと、『量』は取れませんが、『味』は格段にノります。そして、『量』ではなく『味』を追求する寺本果樹園には、この寒さが必要です。

    そう考えると、何度も恨んだこの寒さが、今では愛おしく思えます。
    ごめんなさい嘘です。必要だけどちょっと寒すぎるかな😂

    とにかく、昔は恨んで言い訳ばっかだったのが、今では逆に活用しているというのは、個人的に成長だと感じていて、なんか感傷に浸れます。

    与えられた環境で上手いことやるしかないしね。
    前に進めた僕たち…偉くない??褒めてもいいよ。褒めて!!

    というわけで、『与えられた環境で上手いことやる』という僕の感想でした!

    最近寒いので、みなさんご自愛ください。

    ここまで読んでいただきありがとうございます!
    おもしろかった!という方は、ぜひコメントいただけますと、すごく嬉しいしめちゃくちゃやる気が出ます💪

    そして、現在寺本果樹園では【イチゴの予約販売】をしております🍓
    「味」や「鮮度」など、『品質』にこだわった産地直送・農家直送の新鮮なイチゴをぜひ✨

    もしご興味がありましたら、ぜひチェックしてみてください!

    最後まで読んでいただきありがとうございました👩‍🌾🧑‍🌾

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    投稿者プロフィール

    寺本 直人
    寺本 直人
    寺本直人

    島根県邑南町(おおなんちょう)で農業をしています。姉である寺本秋穂と一緒に野菜や果樹を栽培しています。
    農家である両親の影響で、幼い頃から農業に触れ、地元の農業高校・農業大学校に進学し専門的に農業を学び、20歳の時に地元に戻って農業を始めました。
    夏には大玉トマト、秋にはシャインマスカット、冬と春にはイチゴを栽培しています。オンラインでのご注文も受け付けておりますので、ご興味のある方はぜひ!